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MOX燃料輸送 県、了解 (09年2月26日)

軽水炉を中心とした核燃料サイクルの概要 (資源エネルギー庁:エネルギー白書2007より)


MOX燃料輸送 県、了解 (09年2月26日) 玄海原子力発電所3号機(佐賀県東松浦郡玄海町)で使用するプルサーマル用のウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料の輸送計画について、国の安全審査が終了した事を踏まえ、佐賀県と玄海町は輸送計画を許可した。
 これによって今秋にも国内初のプルサーマルが実施される公算が高まりました。



MOX燃料輸送 県、了解 (09年2月26日)






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◎佐賀県、MOX輸送を了解 プルサーマル計画

                              佐賀新聞(2009/02/26)

九州電力玄海原子力発電所3号機(東松浦郡玄海町)のプルサーマルで使用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を海上輸送する計画について、安全審査を実施していた国土交通省は26日、輸送計画を承認した。連絡を受け、佐賀県と玄海町は直ちに同社に対して「了解する」と回答。3月には輸送船が欧州を出航する見通しとなり、国内初のプルサーマルが今秋にも始まる可能性が大きくなった。


 九州電力が申請した輸送計画を審査してきた国交省は「法令に基づく安全基準に適合している」として、安全確認書を交付。これを受け、県と玄海町はそれぞれ同社の担当者を呼び、輸送について事前了解する回答書を手渡した。


 古川康知事は「一義的に責任を負う国が国際ルールに基づき、安全性を確認した。輸送は極めて技術的な問題で、県が付加して判断する要素はない」と説明。玄海町の岸本英雄町長は「国と事業者が互いに安全を確かめ合うことを前提に了解した。安全第一に運んでほしい」と述べた。


 県から事前了解を受けた九州電力佐賀支店の石川伸一課長(原子力担当)は「自治体には十分に説明してきたので、了解してもらったと理解している。輸送については安全対策に万全を期したい」と話した。


 MOX燃料は2-3カ月で到着する見込みで、玄海原発に搬入した後は同社が受け入れ検査を行うとともに、国が輸入燃料検査を実施する。3号機は8月下旬から2カ月程度、定期検査を行う予定で、MOX燃料は定期検査に合わせて装荷される公算が大きい。


 計画では四国電力伊方原発3号機(愛媛県)、中部電力浜岡原発4号機(静岡県)で使用するMOX燃料と一緒に輸送。伊方3号機は昨年12月に定期検査を終え、浜岡4号機は25日に検査が始まったばかりで、日程からみると玄海3号機が国内最初のプルサーマルとなる可能性が大きい。


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◎MOX燃料輸送完了―撤回求め、相次ぎ抗議

                              佐賀新聞(2009/02/28)

臨界事故危険/県は主体性を
MOX燃料輸送 県、了解 (09年2月26日) 県と東松浦郡玄海町がプルサーマルのウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料輸送計画を事前了解したことを受け、計画に反対する市民団体は27日、相次いで抗議し、了解の撤回を求めた。メンバーらは輸送段階で臨界事故を起こす可能性などを指摘。国の安全審査は不十分とした上で「国が安全といえば丸のみするのか。県の主体的な判断はないのか」などと厳しく批判した。
写真
 了解から一夜明け、「プルサーマルと佐賀県の100年を考える会」や「県原発問題対策協議会」などの市民団体が県庁を訪問、抗議文を県の担当幹部に手渡した。

 メンバーら約30人が抗議に臨んだ「考える会」は、2007年10月にあった国際シンポジウムで、燃料が臨界に達する可能性があるという新たな問題が提起されたことを説明。その後、電力会社が実施した再実験の詳細も国は把握しておらず、審査自体に問題があるとし「県は国に安全性をただす責任があるはず」と批判した。

 県の担当者は「容器の安全性などについては責任を持つ国が確認しており、県としても安全は確保されると判断した」との見解を繰り返した。3時間以上に及んだ抗議でも市民団体は「とても納得できる回答ではない」とし、今後も抗議活動を続ける決意を示した。

 県と玄海町役場を訪れた地元の玄海原発対策協議会は「判断までに県民の声をどれほど聞いたのか」「玄海を実験炉にするのか」など、国内初となる可能性が高いプルサーマルへの不安をぶつけた。

【写真】MOX燃料輸送了解に抗議し、県に撤回を求める市民団体のメンバー=県庁

唐津と佐賀で 反原発講演会
 玄海原発3号機のプルサーマル計画で使用するMOX燃料の輸送を県と玄海町が了解した中で、同計画や原発に反対する講演会が26、27の両日、唐津市と佐賀市であった。

 反原発の著作がある作家広瀬隆さんと元慶応大助教授の藤田祐幸さんらが、高レベル廃棄物などの最終処分方法が決まらない中で進む原発政策に警鐘を鳴らした。

 唐津市文化体育館には約110人が集まった。広瀬さんは、使用済みMOX燃料は「使用済み核燃料より発熱量が高く地下に埋めることができる温度に下がるまで500年かかる」と指摘。その上で「処分方法もはっきりしない無責任な計画は受け入れるべきではない」と主張した。

 藤田さんは、天然ガスを活用するタイプの発電方法を例示し「原発より安全でコストが低い発電に転換すべき」と訴えた。

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玄海原発プルサーマル 不安を取り除く努力を(2月28日付 佐賀新聞論説)

 九州電力が玄海原子力発電所3号機(東松浦郡玄海町)で進めるプルサーマル計画は、佐賀県と同町がプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の海上輸送を了解したことで今秋実施の可能性が高まった。国内第1号になる見通しだ。国が進める「核燃料サイクル」の柱となるものだが、県民にはなお不信感がある。国や県、九電は県民の不安や疑問を取り除く努力をもっとしてもらいたい。

 プルサーマルは、原発で使用済みとなった核燃料を再処理して核物質のプルトニウムを分離し、ウランと混ぜたMOX燃料を、普通の原発で再び燃やす発電法。エネルギー資源の乏しい日本は電力供給の3割を原発が担っている。日本には「プルトニウムは保有しない」との方針があり、原発が稼働する限り増えていくプルトニウムを、ごみとして捨てるのではなく、資源とする核燃料サイクルを、国は原子力政策に掲げる。国は「1-2割のウラン資源が節約できる」としている。

 核燃料サイクルの流れは、青森県六ケ所村の再処理工場(試験運転中)で原発の使用済みウラン燃料を処理してウランとプルトニウムを取り出し、同村で建設計画中の燃料加工工場で新たにMOX燃料を製造する-となっている。だが、国内再処理工場は完成時期が当初計画から10年以上も遅れており、現在、再処理は国外に依存。再処理後に出る高レベル放射性廃棄物の最終処分施設は設置のめどすらたっていない。

 核燃料サイクルのもう一つの柱である「もんじゅ」(高速増殖炉)は事故で長期停止が続き、国はプルサーマルを頼みの綱にしている。玄海での初稼働に見通しが立ったことは大きな意味を持つ。しかし、国内で使用例のない核燃料を県内に輸送して燃やすことには不安の声がある。

 市民団体は「MOX燃料の製造検査結果データが公表されていない」「輸送容器の安全が確認されていない」と訴える。九電や県は、データはフランスの燃料加工会社の企業機密、ノウハウがあって公開できないことや、容器の安全性について国にただして問題ないとしている。だが、通り一遍の回答ですませるのではなく、丁寧な説明が欠かせない。

 プルサーマルにはMOX燃料の製造、輸送で多額に費用がかかり、燃料コストがウラン燃料を燃やすより割高になるとの問題点も指摘されている。核燃料サイクルは課題が多いが、国策で進めている以上、もっと国が前面に出て住民の不安を取り除くよう、説明責任を果たすべきではないだろうか。

 県も、国に電力会社などに対してもっと厳しい指導監督を求めていく姿勢を示してほしい。何から何まで国まかせでいいわけはなく、理解を広げる努力を惜しむべきではない。

 過去の事故や不祥事が、原発に対する不信感が消えない一因にもなっている。プルサーマルについても当初、東京電力、関西電力が先行していたが、トラブル隠しや燃料データ改ざんの影響で中断した。その結果、玄海が先頭に躍り出た。電気の恩恵を受けて暮らしている私たちだが、県民の間にさまざまな不安があることを、いま一度みんなで考えたい。(横尾 章)



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