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玄海原発:町が描いた夢/4 (毎日新聞)

玄海原発:町が描いた夢/4 深まる九電との連携
毎日新聞(2009/03/07)

 九州電力玄海原発に隣接する約11万平方メートルの敷地に、実物大の原子炉模型のあるサイエンス館や温室などが並ぶ。九電が99億円を投じ、00年3月にオープンしたPR施設「玄海エネルギーパーク」だ。

 オープン前年の99年には作業員が被ばく死した茨城県東海村のJCO臨界事故が発生し、00年の宮崎県串間市長選では、原発の新規立地が最大争点に上った。電力事業者側からは原発のPRの必要性が叫ばれていた。

 館内には原発の仕組みを学ぶゲーム機が並び、入場は無料。00年度の来館者は約41万6000人に及んだ。「入口に数十メートルも列ができました」。スタッフの女性はオープン初日を今も思い出す。

 だが来館者数は次年度以降減り続け、07年度は約22万9000人にまで落ち込む。

 客足回復を目指し、施設は年4回のキャラクターショーなどで家族連れを呼び込み、スタッフも毎月、手作りのイベントを開く。それでも、当初の集客数にはほど遠い。

 「展示のリニューアルもなく、目新しさがなくなった面はある」と岩尾信男館長。上田親彦・玄海原発環境広報担当次長は「一度でも来てもらえれば、原発への理解を深めるという目的は達成される」と、リピーターが必要な商業施設との違いを強調する。

  ◆  ◆  ◆

 この施設の隣に、玄海町が2012年のオープンを目指すのが「次世代エネルギーパーク」(仮称)。新エネルギーへの理解を図るための施設で、現在全国13カ所、九州では玄海町、北九州市、長崎県佐世保市に計画されている。町には06年に国側から打診があった。

 町が07年に策定した計画では、次世代パークの年間来場者を約10万人と想定。利用料は1人300~500円。江戸時代の炭鉱に始まり、原発から大型風力発電まで町の電力史をたどりながら、さまざまな新エネルギーを紹介する。メリーゴーラウンドやゴーカートなどの遊具も設け、年間運営費は約5400万円。

 プルサーマルの受け入れによって県に交付される核燃料サイクル交付金は計60億円。うち30億円が町に分配され、町はこの中から10億円を次世代パークに充てる。

 さらに、同じ交付金から10億円を出し、次世代パークの近くに九州大と薬草研究所を開設することも計画している。岸本英雄町長は新旧二つのパークとの相乗効果を狙い「薬膳料理の提供など付加価値を付けて、製薬会社などの企業誘致に結びつけたい」と夢を描く。

 だが、住民の間からは「交付金をもらうために造る施設ではないかと思ってしまう」との声も聞かれる。

  ◆  ◆  ◆

 次世代パークは国が事業を実施する自治体を募って造られるが、この事業に特化した国からの助成はない。一方、町が設置した町内の団体や県外の旅行会社、それに九電も加えた構想検討委は08年7月に「管理運営は第三セクター方式の検討をぜひお願いしたい」とする提言書をまとめた。

 「せめて半分は国の援助があると思っていた。最初の話から随分変わったような気がする」と岸本町長。「九電と連携してやらせてもらうしかないだろう」と漏らした。=つづく



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