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玄海原発:町が描いた夢/5 (毎日新聞)

玄海原発:町が描いた夢/5 「使い勝手悪い」交付金
毎日新聞(2009/03/08)

 原発によって玄海町が受け取った電源交付金は、07年度までに計210億1400万円に上る。一方で県に172億5500万円、唐津市にも合併前の旧町分を合わせて128億4500万円が交付されている。

 電源交付金は1974年に創設された電源三法で定められた。原発立地を促進する目的などのほか、不明朗な寄付を防ぐ意味もあるとされる。

 交付金の原資は、九電など電気事業者に課せられる電源開発促進税だ。税率は販売電力量1キロワットに付き37・5銭。一般家庭なら年間約1200円が電気料金に上乗せされている。08年度の税収は3480億円に上る見込みだ。

 玄海町は交付金を活用して総事業費約27億円の町民会館や同約23億円の老人ホームなどを建築。03年10月からはソフト事業にも使えるようになったため、保育園の人件費などにも充てている。

 運用幅は広がったが、同町の岩下孝嗣議長は言う。「県と協議して計画を立てて国に認められなければならず、使い勝手は悪い」

  ◆  ◆  ◆

 岩下議長の言葉を表す施設がある。04年4月オープンの「玄海海上温泉パレア」だ。

 原発立地市町村に直接交付される長期発展対策交付金約10億円を使い、総事業費約17億円を投じた。建物の半分以上が海に突き出し、仮屋湾に沈む夕日を眺めながら湯につかれる。

 鉄筋3階建て延べ床面積約5300平方メートル。温水プールやレストランも備える。町の旅館組合も宿紹介のパンフレットを作り、観光拠点としての役割を期待した。

 だが、聞こえてくる声は交付金への不満と同じで「使い勝手は悪い」。

 収益事業であるレストランに交付金を使えば、国から収益分の納付を求められる可能性があり、レストランは一般財源で建てたという。

 また、計画自体、交付金を積み立てた基金の使用期限(5年間)切れが近づく中で進んだ。当時、担当課長だった町幹部は「どたばたした状況だった」と振り返る。議会もあせった。岩下議長は「これでやめたら交付金を国に戻さなければならず、議会も計画を認めるしかなかった」と言う。

 結局、施設は温泉部分とレストラン部分の2棟が分離した形で設計された。2棟を結ぶのは、1階と、2階の渡り廊下。入浴後、レストランに行こうとすれば、温まった体を外気にさらさなければならない。

 利便性向上や経費削減を目的に指定管理者制度を導入したが、業者が決まったのはオープン2カ月前だった。関係者は「(07年開設の)老人ホームの運営も任せることを約束し、どうにか引き受けてもらった」と明かす。だが業者は、赤字経営を理由に2年で撤退した。

 別の業者に運営が移っても、利用客は減り続けている。施設に見合うだけの客数がなく、期待されていた観光の呼び水にもなっていない。

 赤字は、04年度の約7000万円から07年度には約4000万円に圧縮されたが、依然、町が年間約3000万円の委託料を注ぎ込んでいる。

 交付金は、町の規模に見合い、町民の求める形で使われる仕組みになっているのだろうか。=つづく



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