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プルサーマル/初実施に向け最後の詰めを

社説:プルサーマル/初実施に向け最後の詰めを
世界日報(2009/03/11)

 原子力発電のプルサーマル計画で使用するウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料を積んだ輸送船がフランスを出発した。MOX燃料の日本への輸送は八年ぶりで、五月後半に到着する。

ウラン燃料の節減可能

 二〇〇〇年には、MOX燃料の製造を委託していた英国会社の品質管理データ改竄かいざんが発覚。以後、安全性論議が続き、わが国のプルサーマル実施はずっと延期されてきた。プルサーマルは、原発の使用済み燃料から取り出したプルトニウムをウランと混合し燃料として使う方法で、ウラン燃料を一-二割も節減できる。ウラン資源は有限であり、エネルギー資源の大半を海外に頼るわが国としては、核燃料サイクル確立のためにもプルサーマルは欠かせない。

 今回、搬入のMOX燃料は九州、中部、四国の各電力会社が依頼したもの。九電が発表した計画によると、燃料が到着後、国の検査を経て十月下旬から発電を開始し、十一月半ばには本格稼働の予定だ。高レベル放射性廃棄物の最終処分場の候補地が決まっていない問題などについての論議が、この期間大きくなる可能性もあるが、賢明な対処を望みたい。

 また、北海道電力では現在、日本海に面する後志しりべし管内泊村の泊原発に一〇年の稼働を目指す3号機を建設中で、〇九年度中に試験操業を行えるよう準備をしている。北電はこの3号機に関して、〇八年度にプルサーマル計画を打ち出し、以後、道と地元の理解を求めてずっと検討会議を開催してきた。この泊原発のほか、政府や電力業界は一〇年度までに全国十六-十八基でのプルサーマル実施を目標としており、その達成のためにも、今回の実施内容が注目される。

 一方、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場の八月竣工しゅんこうも待たれる。今回、使用済み核燃料をフランスに送り、再処理を委託せざるを得なかったのは、同工場が未完成のためだ。約七十日の搬送期間やその安全性確保を考慮すると、自前の再処理工場の必要性を痛感する。

 六ケ所村の再処理工場問題については、東京電力のトラブル隠しなど一連の原発トラブルの後、原発を地域に抱える首長らが、「原子力発電と核燃料サイクルは切り離して考えるべきだ」と述べたことの影響が大きかった。その後、再処理事業の安全性については、事業者と地元の粘り強い話し合いが行われ、双方の合意が醸成されてきている。完成をこれ以上延ばすべきでない。

 わが国はエネルギーの安定供給の確保のため、戦後一貫して原発政策を進めてきたが、さらに二酸化炭素の排出を減らし地球温暖化を防止するためにも原発の稼働は重要な手だての一つになってきた。

安全性追求し準備を

 欧州では原発回帰が広がっている。例えば脱原発政策を三十年間維持してきたスウェーデンでも、稼働中の原子炉十基を建て替える方向だ。プルサーマルについても、フランスやドイツ、米国など九カ国で実施されている。わが国は原発の安全性を追求し、初のプルサーマル実現へ万全の準備をすべきである。



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