苦悩する原発の町

昏君

2009年09月24日 23:00

◎「原発の町」不安交錯 交付金は?原子力政策は?
(佐賀新聞2009/09/23)


▼玄海町-新政権の方針見えず
 民主新政権が発足し、九州電力玄海原子力発電所が立地する東松浦郡玄海町が不安を募らせている。原発立地関連交付金に町財政の2割を頼るが、その出どころは新政権がメスを入れようとしている国の特別会計。連立相手の社民は「脱原発」を掲げ、原子力政策推進にも不透明感がぬぐえない。岸本英雄町長は「国策として政策の一貫性は必要」と訴える。

 「原発立地地域の振興が無駄と判断されれば厳しくなる」。町幹部は、新政権が掲げる国の特別会計見直しに不安を隠さない。町には毎年、国のエネルギー対策特別会計から原発関連交付金が約15億円入る。本年度一般会計当初予算72億円のうち約20%を占める額だ。

 町は交付金の有効活用を予算編成の柱に掲げ、学校の耐震補強や道路整備などを実施。今後も下水道整備や新小学校建設などに交付金を当て込む。ただ、交付金頼みの財政に不安はあり、50億円台まで財政規模を縮小したい考えだが「一度膨らんだ財政を見直すのは難しい」と本音も漏れる。

 財政問題に加え、新政権の原子力政策も気になるところだ。10月下旬にはプルサーマルの実質的なスタートを控えるうえ、中間貯蔵施設計画や使用済み核燃料プールの容量を増やす「リラッキング」、1、2号機の老朽化に伴う廃炉、定期検査の延長など、町は、今後もさまざまな対応を迫られる。

 民主党は原子力について、マニフェスト(政権公約)で「国民の理解を得ながら着実に取り組む」と推進を明言。だが、連立相手の社民党は「脱原発」が党是だ。六ケ所村の再処理工場稼働が遅れ、核燃料サイクルの見通しが立たない現状は、原子力推進派には不利。国内初のプルサーマルを間近に控える原発の町にとって不安材料だ。

 岸本町長は、「政策が急激に大きく変わることはないと思う」としつつ、「原子力を含むエネルギー問題は国の根幹。原子力政策は100%順調ではなく、地元への一定の配慮は今後も必要」とくぎを刺す。

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◎玄海町議選、定数12に13人が立候補
(佐賀新聞2009/09/22)


 任期満了に伴う東松浦郡玄海町議選は22日、告示され、定数12に対して13人が立候補する少数激戦となった。27日に投開票される。

 立候補者の新旧別の内訳は現職10人、元職1人、新人2人。党派別では共産1人で、ほかは無所属。町内には10月下旬にも国内初のプルサーマルを控える九州電力の玄海原子力発電所3号機など原発4基が立地し、原発関連の交付金を活用した町づくりの是非などが争点となる。

 期日前投票は23~26日の午前8時半~午後8時まで町役場で。投票は27日に町役場、町民会館、保育所「ふたば園」の3カ所であり、同日午後9時から即日開票される。選挙人名簿登録者数は、5257人(男2599人、女2658人)=21日現在。

【写真】玄海町議選が告示され、町内を走る選挙カー=玄海町


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