佐賀城公園のハスが全滅した。
佐賀城公園は、県都佐賀市の中央部に位置し三方を濠に囲まれ、水面に映える楠と柳の緑は、佐賀の代表的な景観となっている。
お堀には多くにハスが自生していて、花の時期には県民の目を和ませていた。
そのハスが姿を消したのだ。
目撃者の証言では消滅前に「レンコンの根茎が何かに食いちぎられ、流れていた」との情報が入っている。
有りし日の佐賀城公園
ハスが姿を消した佐賀城公園の南濠(2007年8月)
事態を重く見た公園を管理している県佐賀土木事務所では、佐賀大学や動植物の専門家と連携して容疑者の捜査を開始した。
捜査の結果、捜査線上に複数の容疑者が上がったが、どれも決め手に欠いていた。
容疑者-1 ザリガニ
容疑者-2 ソウギョ
容疑者-3 ブルーギル
そんな中、主犯格と思われる容疑者が浮かんできた。
その容疑者は、幼体には緑、黄、黒などの鮮やかな模様で知られる「ミドリガメ」である。
本名は「
ミシシッピアカミミガメ」、北米は
ミシシッピ川、
リオグランデ川水系出身の帰化亀である。
彼等は1950年頃タレントとして日本へ入国したが、成長するにつれその美貌を失い解雇され、川や池へ捨てられた。
しかし、その持前の生命力によりアンダーグランドでの新たな地位を確立し、日本全国に勢力を広げるに至った。
県佐賀土木事務所では彼等を最重要容疑者とし、「カニかご」等を使い逮捕に全力を注いでいる。
人気絶頂期のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)
彼等は本当に真犯人なのだろうか?
◎佐賀新聞(2008/05/02)
ハス消滅の犯人はカメ? 捕獲し調査へ
佐賀城公園(佐賀市城内)のハスが全滅し、外来種のカメによる食害説が浮上している。「レンコンの根茎が何かに食いちぎられ、流れていた」という目撃情報が消滅前にあり、公園を管理している県佐賀土木事務所は4月30日夜、カメを中心とした水生生物の捕獲作戦を南堀でスタート。実際に食べるのかどうか、佐賀大学や動植物の専門家と連携して調べる。
白い花が夏の風物詩だった南堀のハスは2006年から激減。同年10月に県の機関が実施した水質、土壌調査では異常はなく、気候の影響かと思われていたが、全滅した07年までに食害が疑われる事実が出てきた。
“主犯格”として名前が挙がるのは、北米原産の「ミシシッピアカミミガメ」。縁日などで「ミドリガメ」として販売されており、ペットとして飼われていたものが堀に捨てられ、数百匹規模に繁殖しているとみられている。成長するにつれ、草食性が強まるといわれ「柔らかい新芽や浮き葉がえさになったのでは」という指摘もある。
同事務所は4月30日夜、南堀の2カ所に、ささみを入れた「カニかご」を設置。翌朝引き揚げると、体長25ー10センチのカメ23匹がかかっていた。大半がミシシッピアカミミガメで、実証試験をする佐賀大の水槽に運ばれた。
青森県の弘前公園では、ザリガニが原因とみられるハス全滅の事例があり、佐賀城公園南堀でもカメのほかザリガニやソウギョ、ブルーギルなどでも調べる予定だ。
調査は2年計画で実施。原因の特定を進めながら、在来のハス再生へ向けた種レンコンの植え付けを検討する。
【写真上】佐賀城公園南堀で捕獲されたカメ=1日朝、佐賀市城内

容疑が固まりつつあります。
◎佐賀新聞(2008/05/20)
外来種カメの食害確認 佐賀城公園ハス全滅
佐賀城公園のハス全滅の原因を調べている佐賀大学農学部の有馬進教授(53)=作物学=は、外来種ミシシッピアカミミガメによる食害の事実を予備実験で確認した。20日から数を増やした本実験を開始。来月からはヒシへの食害の可能性も調べる。
実験では、県佐賀土木事務所が同公園の南堀で捕獲した大中小のカメを1匹ずつ水槽に入れて観察。大型の25センチ級は旺盛な食欲で新芽や浮き葉の茎を食べ、翌日にはちぎれた葉が浮いていた。少量だが、15センチ大のカメも同様にかじり、それらの様子は一部ビデオカメラにも収められた。
20日からは、水路のような長さ約15メートルの水槽を4つに仕切り、サイズ別に2-5匹ずつ入れて、何日で食べ尽くすかを確かめる。ほかの水生生物についても捕獲され次第、実証実験をする。
佐賀城公園では近年、南堀東側でヒシの群生もなくなっており、カメとの関連を調べる。ヒシ産地の神埼市千代田町下直鳥地区では、ソウギョの侵入を防ぐため、栽培水域に網を張るなどしているため、今のところカメ食害は確認されていないという。
【写真】ミシシッピアカミミガメに茎を食いちぎられてしまったハス。水槽のガラス面(下部)に映っているのは記録用ビデオカメラ=佐賀大学農学部